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[vol.25] 「ものづくり大国日本再生計画」第1弾 バントガード登場!(中)

2025.12.04プロジェクト
[vol.25] 「ものづくり大国日本再生計画」第1弾 バントガード登場!(中)

 

  フィールドフォース社長・吉村尚記が打ち出した「ものづくり大国日本再生計画」の第1弾となる商品「バントガード」の開発背景と、商品に込めた思いを探る2回目。バントガードの発案・企画から製作までお世話になっているパートナー企業、千葉県白井市にある田中工業さんを訪ねました。

 

65年間積み上げてきた実績と信頼

 フィールドフォースの本社からも遠くない、千葉県白井市にある田中工業。白井工業団地内に所在し、溶接を中心とする金属加工を主に行っている。側溝の蓋などに使われる、格子状に加工した金属製の蓋「グレーチング」と、その受け枠の製造のほか、各種金属製のタンクや架台などを製造。設立は昭和21(1946)年と同社のホームページにあるが、創業の地は市川市で「会社にしたのは35(1960)年です」と田中博文社長が解説する。田中社長は創業者の子息で、二代目だ。
「当初は個人経営で、近所の工場などの仕事を請け負って商売をしていたようです。現在の場所に移るときに、いろんなものを整理していたら、硫酸…硫酸って分かりますか? 劇薬の、あの硫酸です。それを運ぶキャリーみたいなもので、特許をとっていたんですね。そんなこともやってたみたいですよ」
 現在の主製品の一つであるグレーチングは、トップメーカーのもの。協力企業の商品の製作が多いが、過去には落札受注により製作を請け負ってきた製品も少なくない。「品質にはこだわって作ってきました。とにかく、それが一番。競争入札では一時、とにかく安く作れる会社が選ばれた時期もありました。海外の工場などと競っていた時期もあったんですが、ウチはずっと品質にこだわって…。そのうちに、やはり信頼できるのは日本製だ、という考えが一般的になってきたんですよ」と話してくれたのは、そうした競争入札の案件を多く担当してきた田中美千男専務だ。
 現在は社内で何項目にもわたる製品検査体制を整え、「田中に頼めば間違いない」という評価を受けるまでになっているという。技術と品質の高さで信頼を積み上げ事業を続ける、尊敬すべき、ものづくり企業だ。

 

野球分野の商品も抜群の信頼感

田中工業ホームページより

 

 そんな田中工業が野球関係の用具・施設を手掛けるようになったいきさつは、前回の記事にある通り(→こちら)だが、現在、取引がある学校は100校を超えるという。
「スポーツショップなどを通している所もあるので、正確には分からないんですけど…」と田中富美男営業課長が話す。
 詳しく聞くと、経緯はこうだ。
 田中課長のところに、同級生が監督を務める高校から「こんなのを直せないかな?」と連絡が入ったのは、ほんの5、6年前のこと。
「その後にも、同じように頼まれることが何度かあったんです。それで、どうせなら直すだけじゃなくて、作らせてくれないか? とボクが提案したんですよね。ウチなら壊れないのを作れるから、って言って」
 田中営業課長が振り返る。
 会社としては未知の分野への挑戦でもあったが、社内の後押しもあった。田中社長だ。
「私も野球は好きなんですが、それを仕事に結び付けるなんてことは、考えたこともありませんでしたよ」と、当時を振り返る。そして、田中営業課長に「やってみたらいいじゃないか」とGOを出したのだった。
 再び田中営業課長──。
「そうして、野球用具専門のブランドである、『TUF CAGE(タフ・ケージ)』を立ち上げたんです。好きにやらせてもらえたのは、ありがたかったですね。」
 ここで金属加工のプロとして培ってきた高い技術力と、積み重ねてきた信頼と実績がものをいう。頑強な作りと、腐食に対して極度に強いめっき加工技術を誇る田中工業製の器具・用具類は、最初に依頼を受けた高校で好評を得たほか、練習試合でグラウンドに来た他校にも話が広まる形で、その評判は徐々に口コミで広がっていったのだという。
「最初は、社内でも冷ややかな目というか、そういうのはありましたよ。『半分、遊びみたいなものなんだろう』って。だからこそ、一つひとつの注文に必死で応えました。絶対に、失敗したくないという思いがあったから…」
 まだわずか数年の営業、それも積極的にセールスをした結果ではなく、主に口コミで客が客を呼び、ここまでの規模になったというのだから、ここでも顧客から絶大な信頼を寄せられていることがわかる。

 

小さなプロジェクトに製作依頼が相次ぎ…

 田中営業課長とともに、TUF CAGEの業務にあたってきた、設計担当・田村浩二さんの働きも大きかった。
 歳は田中営業課長よりも上で、同じ高校の野球部の先輩。しかし、田中工業に中途で入社した時には、まだTUF CAGEはおろか、「野球関係の仕事はまったくなかったですよ。ボクは以前の会社でもCADを使って設計図を作成していたので、その経験が生かせるということもあって、この会社に入ったんです。前の会社にいたときに、あちらの会社の仕事として、ここにお邪魔したこともあったので、(田中営業課長とは)顔見知りで、出身校が同じで…なんてことは、お互いに知ってましたけどね」と振り返る。「だから、野球の仕事に関わることになったのは、まったくの偶然。想定外だったんです」
 TUF CAGEの仕事も当初は小さなプロジェクトとして始まったため、田村さんが設計図を描き、「溶接も一応、経験はありましたから」と、溶接まで一人で行うことも多かったという。
「会社に入ったときには、まったく予想していなかった仕事でしたが、自分も野球の経験はあるし、好きですから。現場に行って、お客さまの要望なんかを聞いていると『それはこういうことかな』なんて、こっちも求められているものが想像できたりして、話が早い。そんな風に、いただいたリクエストを形にしていったんですよね」
 こうして、一つずつの仕事と正面から向き合い、信頼を重ねることで、TUF CAGEの製品と名は口コミによって徐々に広がっていった。「もちろん、今も野球以外の、通常の業務にあたることはありますが、野球の案件だけで、かなり仕事が回るようになってきたんです。制約なく、野球関係の仕事もさせてくれている会社には感謝ですね」
 田中営業課長は田村さんと二人三脚で作り上げてきたTUF CAGEの活動をそう振り返る。かつて田中工業自体がそうであったように、一件ずつ、顧客の要望に向き合い、高い技術力でその要望を形にし、信頼を積み重ねて、ここまで来たのだった。

 

FIELDFORCE×TUF CAGE まずはバントガード、その先も…

 そこに飛び込んできたのが、今回のフィールドフォース・吉村からの申し出だった。
「バントガードの話題は最初、話のつなぎくらいの、軽い気持ちで口に出したんですよ」
 と田中営業課長。
「軽い気持ちではあったんですが、フィールドフォースさんの商品開発室で、これまでの開発商品や、開発中の試作品などを見せてもらっているうちに、『この会社なら、ひょっとしたら、もう作ってるんじゃないか?』なんて思えたりもして」
 ところが、話題に出してみると、両社とも一度は試作までしながら、頓挫していた商品であることが判明。そこからさらに、互いの技術を持ち寄れば、苦手な分野を互いに補い合うことができ、商品化できるのでは? という方向に…。ごく自然に、フィールドフォースとTUF CAGE、双方にとって「開発再開」となるプロジェクトが始まり、一気に商品化までこぎつけたのだった。
「実は、(バントガードの)完成を待っていてくれたお客さんもありましたからね」と田中営業課長。「今回の商品開発中の話も、吉村社長のインスタを通して、ボクよりも知り合いの方たちの方が情報が早かったりして…」と苦笑いする。「『この田中工業って、ひょっとして…』なんて、ボクが知らないことまで知ってましたからね…」
 知り合いから届くメッセージには、バントガードの完成を待ちわびる声も多かったという。「反響は間違いなく、ありますね」
 田中営業課長が続けた。「個人的には、小学生や中学生にたくさん使ってほしいですね。怖がらずにバント練習ができるって大きいと思います。子どもたちには、これで練習して、自分の“武器”を持ってほしい。小さいころからの練習で、自分のセールスポイントを高められるんだったら、それに越したことはないですもんね」
 楽しみにしているのは、フィールドフォース・吉村ももちろん同じだ。「バントガードは、来社されるお客様が例外なく、称賛してくれます。『自分が若いころに欲しかった』というやつですね」。FIELDFORCE×TUF CAGEによる、痒いところに手が届く商品。「田中工業さんとは、これからも多くの商品で、協力できることは間違いない。可能性しかありませんよ」──。

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